日本人にとって最もポピュラーな疾患が高血圧です。収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上の場合が高血圧です。高血圧は通常自覚症状がないため患者さんも侮りがちですが、たとえば150~180mmHg程度の高血圧が続けば頭重感、浮遊感などを感じ早めの治療開始が必要です。
高血圧は虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳卒中(脳出血、脳梗塞)、腎不全の発症原因になりますし、血圧が高くなるほど合併症のリスクが高まるため、収縮期140mmHg未満または拡張期 90mmHg未満を目標とします。収縮期血圧で120未満が至適血圧とされています。高血圧と肥満、高脂血症、糖尿病との合併は以前「死の四重奏」、「シンドロームX」などと呼ばれていましたが現在では「メタボリックシンドローム」と呼ばれ要注意です。高血圧は減塩(日本人の平均食塩接種量は11.2gで6g未満を推奨)、禁煙、生活習慣の改善、適度な運動が必要ですが、持続的に高血圧が続けば降圧剤による治療が必要になります。血圧を測定する時には正常血圧で、その他の時間帯は高血圧が持続している状態を仮面高血圧、普段は正常血圧なのに診察室では血圧が上昇する場合を白衣高血圧症と呼び管理・治療が必要なことがあります。また、深夜から朝方にかけて急に血圧が上がるモーニングサージがあり、脳卒中との関連性も指摘されていますので厳重な血圧コントロールが必要と思われます。
高血圧の9割は本態性高血圧症(原因が単一ではなく遺伝的素因、食生活・生活習慣、ストレスなど諸因子がからみあっている)ですが、残り1割に血管系疾患(大動脈狭窄、腎動脈狭窄)、内分泌疾患などで高血圧をきたす二次性高血圧があります。
健やかな日常生活を送るためにも早期診断、早期治療が必要ですので高血圧疑いあるいは高血圧の場合は早めの受診をお勧め致します。