手術?薬物療法?5つのステージ(病気)ごとに変わる乳がん治療の方針

乳がんの進行段階は5つのステージ(病期)に分類されます

乳がん治療は専門医と慎重に進めることが大事

一様に「乳がん」と言っても、進行段階によってその深刻さは全く異なってくるものです。皆さんもがんには「ステージ(病期)」があるという話を耳にしたことがあるかと思うのですが、乳がんにももちろんそれは当てはまります。

ステージによって生存期間も変化

 

乳がんにおいては、浸潤(しんじゅん)の有無やしこりの大きさ、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無などによってその進行段階を0~Ⅳ期の5つのステージに分類することとなります。

そのステージごとに罹患者の生存率は全く変わってきます。日本乳癌学会が調査した乳がんの5年生存率(5年後に存命である確率)を見ると下記のデータのようになります。

ステージ0: 97.58%
ステージⅠ: 96.63%
ステージⅡ: 90.93%
ステージⅢ: 72.48%
ステージⅣ: 42.65%

ステージが進行するにつれてその生存率に大きく変化があることは明らかですね。早めに乳がんの存在に気付き、早期の治療が行うことがカギになってきます。

検診で気づけるのはどのステージから?

乳がんの大きさが5mm~1cmくらいになると、注意深く探れば自己検診で気づくことが可能です。0期の乳がんに気づくのはなかなか難しいですが、Ⅰ期のように早期の乳がんであってもしっかりとチェックすれば発見することは可能です。もちろん実際には乳がんではない場合もありますが、できれば少しでもおかしいなと思ったら専門医の触診を受けることをオススメします。

0~Ⅳ期の5つのステージ、それぞれの特色

ステージの診断は、乳がんの画像診断、またがん組織の採取・検査を通して把握した乳がん進行状況を分類するためのものです。がんの確定診断が行われた後に、専門医によってステージを伝えられることになり、それを基にした治療方針が組み立てられることになります。

ステージ別に罹患者の割合は大きく変わってきます

                                                       Image via 日本赤十字社

上のデータを見ても(2011年の全国集計)、ステージによって罹患者の割合は全く異なります。知らない間にステージがどんどん進んでいた…..という状況が一番避けたい事態。それぞれのステージの特徴、分類についてしっかりとわかるようにしておきましょう。

0期

このステージと診断された乳がんは、まだ乳腺の中にとどまっている極めて早期のもの、すなわち「非浸潤(しんじゅん)性乳がん」です。しこりとして触れることも稀にはあるものの、多くの場合専門医であってもそのしこりに触診で気づくことが難しい段階だと言えます。一方で茶褐色の分泌液や乳頭・乳輪のただれといった症状はこのステージでも確認することができるため、自己検診の際のポイントとして注意し見てみてください。

Ⅰ期

Ⅰ期においてはまだ乳がんはあまり広がっていない状況といえます。具体的に言いますと、しこりの大きさが2cm(1円玉の大きさくらい)以下の浸潤(しんじゅん)性乳がんで脇の下のリンパ節には転移していないか、もしくは2mm以下の微小な転移のみで済んでいる段階です。さらに言うとこのⅠ期はⅠA期とⅠB期とに分類することができ、前述の「しこりが2cm以下で脇下のリンパ節に転移がない場合」がⅠA期、「しこりが2cm以下で脇下のリンパ節に2mm以下の転移がある場合」がⅠ B期とされています。

この時期にはしこりがある程度大きさを持ってくるため、触診でその存在がわかるようになってきます。

Ⅱ期

Ⅱ期もⅠ期と同様にⅡA期とⅡB期に分けることができます。しこりの大きさ、脇下リンパ節への転移の有無がその分類のポイントとなっています。

ⅡA期はしこりの大きさが2cm以下で脇の下のリンパ節への転移がある場合、またはしこりの大きさが2~5cmで脇下のリンパ節への転移がない場合です。

一方のⅡB期は、しこりの大きさが2~5cmで脇の下のリンパ節への転移がある場合、またはしこりの大きさが5cmを超えて脇の下のリンパ節への転移がない場合……とされています。

Ⅲ期

Ⅲ期はⅢA期、ⅢB期、ⅢC期の三つに分類することができ、総じて「局所進行乳がん」と呼ばれています。

ⅢA期は、しこりの大きさが2cm以下であっても脇の下のリンパ節に転移がたくさんあり、さらにリンパ節がお互いに強く癒着していたり周辺の組織に固定している状態、または脇の下のリンパ節転移がなく胸骨の内側のリンパ節(「内胸リンパ節」と呼びます)が腫れている場合をいいます。もしくはしこりの大きさが5cmを超えていて、脇の下あるいは胸骨の内側のリンパ節への転移がある場合です。

ⅢB期は、しこりの大きさや脇の下のリンパ節への転移の有無に関わらず、しこりが強壁にがっちりと固定しているか、皮膚にしこりが現れたり崩れ・むくみを招くような状態が挙げられます。「炎症性乳がん」もこのⅢB期に含まれます。

そしてⅢC期は、しこりの大きさに関わらず、脇の下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の双方に転移がある場合、もしくは鎖骨の上下にあるリンパ節に転移がある場合とされています。

Ⅳ期

Ⅳ期はすなわち、遠隔臓器に転移が進んでしまっている段階です。乳がんの場合は骨、肺、肝臓、脳などに転移しやすいとされています。

5段階のステージ、それぞれに対する治療方針とは?

乳がん手術が必要とされるステージを理解しておこう

乳がんの標準治療というのはステージによって大きく異なり、また同じステージでも細かい分類があるように、がんの広がりや性質によって治療法は細かく変わってきます。

0期の治療

画像診断による乳房の中のがんの広がりから判断し、乳房(乳腺)全切除術、または乳房(乳腺)部分切除術(乳房温存術)を行います。後者の乳房温存術の場合は、乳房内の再発を予防するために放射線治療を行うことがあります(術後放射線療法)。

ⅠA・ⅠB期の治療

このステージにおいては基本的に乳房(乳腺)部分切除術とセンチネルリンパ節生検、と呼ばれる治療が推奨されています。このセンチネルリンパ節生検とは、乳房内から乳がんが最初にたどり着くリンパ節を発見・摘出しさらにがん細胞があるかどうか(転移の有無)を顕微鏡を用いて調べる一連の検査のことをいいます。
ただし広範な乳管内進展がある場合には、残念ながら乳房全切除が推奨されることとなります。

ⅡA期の治療

ⅡA期の治療方針は病院によっても方針が異なることがありますが、しこりがそれほど大きくなく(3cmほどが目安)リンパ節転移がない場合には手術、もししこりがもう少し大きい場合やリンパ節転移が疑われる場合には薬物療法を先に行ってから手術を行うという「術前化学療法」がとられるケースが多く見られます。

この術前化学療法の特徴はしこりの縮小の程度を見て薬の治療効果がわかること、またうまくしこりが小さくなった場合に乳房温存術を行う可能性を残しておける、というメリットを挙げることができます。

基本的にこのステージにおいては、順番の前後を慎重に判断しつつも手術・薬物療法を併用した形で治療にあたることが標準的と言えますね。

ⅡB~ⅢC期の治療

この段階においてはすでにリンパ節・血管を通してすでにがん細胞が全身に広がっている可能性が高いと言えます。それゆえ、手術よりも薬物療法や放射線療法を行う形が一般的です。この薬物療法にあたっては、針生検、ないし生検を行いがん組織を採取してその状態をしっかりと検査した上で進めることが重要となっています。

Ⅳ期の治療

最後にⅣ期の治療方針ですが、このステージにおいては全身に乳がんが広がっていることが明らかな状態ですので、手術によって乳房を切除することに意味はあまりありません。再発した乳がんと同様に、病理検査に続いて薬物療法を行い、がんの進行・症状を抑える治療が中心となってきます。

ただし、骨転移や脳転移などによる症状を和らげることを目的とした放射線療法や手術が行われることはあります。

「ステージ(病気)」という観点から乳がんをしっかりと見つめよう

乳がんに罹患した時、極端にショックを受けてはいけません

芸能人のがん罹患が報道される際にも、「現在ステージ◯と言われています…」という言い方はよく耳にすることと思います。数字が大きいからなんとなく進んでそうだな、という感覚ももちろん大切ですが、具体的にどういった形でステージは判断されるのか、そしてそのステージに合わせてどう治療が行われるのか知っておくことは、実際に乳がんに罹患する際に自分の身と心を守る大きな武器となります。ぜひ知識としてしっかりと身につけておきましょうね。

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