進化する乳がん手術~今話題の乳房温存療法とは?~

全摘出しなくても良い?乳房温存療法とは一体

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乳がんの手術にあたって、20・30年ほど前までは「全摘出しないといけない」という考えが一般的でした。しかし技術の発達、さらには生存率の高さと切除の範囲の相関性に関する研究が進んだ結果、1980年代頃に「乳房温存術」が実施されるようになってきたのです。

切除範囲が大きい手術、小さい手術で治療成績が変わらないならば、範囲が小さい手術の方が整容的にも良く、患者さんの術後の生活においてもより望ましいことは当然ですよね。ですので現在では最小限の患部を手術で切り取り、放射線療法(週5回を5週間程)で乳房内に残存している可能性のあるがん細胞を死滅させる……という治療が主流となっています。

乳房温存術が選択される条件とは?

日本における乳がん手術では、乳房温存術の割合は一定して増加傾向にあります。この方式の選択にあたってはまず乳房温存術を検討し、もしもがんの広がりが大きい場合には乳房切除術を選択する……という形になります。しこりの大きさが3cmまでのⅠ期、またはⅡ期の乳がんであればほとんどの場合温存術を施行できます。
またしこりが5cmほどあったとしても、乳がんのある乳房のボリュームが大きい場合には温存が可能となります。もし、温存が難しいと言った場合には、胸筋を残す胸筋温存乳房切除術が標準治療となります。

乳房温存療法ができる条件というのはまとめると、

①しこりが小さく、3cm以下であること
②しこりが5cm程度と大きくても、乳房のボリュームが大きく温存できる余地が十分にあること 
③しこりが大きくても乳管内のがん細胞の進展が広範囲でないこと

という3点を挙げることができます。

術前時化学療法も標準的に

また、近年ではしこりが大きい場合に術前に薬物療法を行うことでしこりを縮小させて乳房温存術を可能とする「術前時化学療法」が標準治療として行われています。

ただし、術前化学療法によってしこりが見かけ上小さくなったとしても、手術前の最終的な画像診断によってがん細胞がバラバラと散見されるような場合には残念ながら温存療法を行うことができない場合があります。

乳房温存療法が適応にならないケース

NGポーズを示す女性

一方、乳房温存術が適応にならず切除が進められるケースとは、乳がんが広範囲にわたって拡がっている(マンモグラフィで乳房内の広範囲に微細石灰化が認められるなど)場合、2つ以上のしこりが乳房内の離れた場所に見られる場合……が挙げられます。また例えば妊娠中であったり怪我を負ってる場合などは、温存乳房への放射線治療を行う体位を取ることができず、乳房温存療法の適応への障害となる可能性があります。

しこりの大きさと乳房の大きさのバランスから整容的な仕上がりに不安が残る場合などは、そもそもの乳房温存の目的から少し外れてしまいますよね。そう言った場合は温存療法か切除術か、患者さん自身が現状を踏まえた上での希望を伝えることが重要となってきます。

乳房温存療法の流れ

基本的には乳がんのステージが0、Ⅰ、Ⅱ期の場合に行う標準的な局所治療である乳房温存療法。その目的は乳房内での再発率を高めることなく、整容的にも患者さんが満足する乳房を残すことにあります。
そのためには、乳がんの広がりをしっかりと医師側が診断して、それを基に適切な乳房温存術を行い手術後には適切な放射線治療を行うことが重要となってきます。

実際に手術で乳房の部分切除を行った場合も、それで終わりではありません。部分切除した組織の断面を顕微鏡で詳しく検査し、がん細胞が断面または断面近くに見られる場合(切断断端だんたん陽性)には、温存療法後の乳房内再発を予測するための重要な要素として判断材料とします。

追加切除の可能性も…

もし広い範囲での断端だんたん陽性が確認された場合は、止むを得ず追加切除や乳房全切除術が推奨されることもあります。とは言っても、範囲がそれほど大きくない限りは標準的放射線治療としてさらに照射を追加する方法が一般的には取られます。

乳房温存療法後の乳房内再発には、2通りの可能性が

乳がんに関する検査を受ける女性

乳房温存療法を行う中で、残した乳房に出現した乳がんの再発を「乳房内再発」と呼びます。これには2つのパターンが存在し、1つには最初の乳房部分切除の際に目に見えないがんの取り残しがあり、それが大きくなって再発として認められる場合。2つには全く新しい乳がんが最初の乳がんと同じ乳房内にできる、という場合です。

この2つを厳密に区別することは現状では難しいのですが、それぞれの場合で治療法が異なる場合もありますので、主治医にどちらの可能性が高いかなどの情報をしっかりと共有した上でその後の治療方針を決定していくことが重要でしょう。

もしも乳房内再発が認められた場合は、一部の例を除いて基本的には温存していた乳房を全切除することになります。

乳房内再発の可能性

上記のデータは、乳房温存療法を行った際の乳房内再発リスクについて約10年間375名の患者に対して調査したものです。4年内の再発リスクは約4.8%、12年後まで見た場合は10%程となっていることがわかります。

費用や病状を知った上、ベストな治療の選択を

時代、そして技術の進歩が進んだ結果非常に選びやすい選択肢となった乳房温存療法。とは言っても必ず適用できるものではなく、自身の乳がんの病期やしこりの大きさ・位置などの情報を把握し、自身の選びうる選択肢のメリット・デメリットを踏まえたうえで治療法を選択していくことが何より大切です。
費用ももちろん気になりますよね。温存手術そのものにも自己負担額でいうと20~30万円ほどの費用、さらにその前後の入院代も決して小さくはありません。25回の放射線療法にも一般的に10万円ほどの自己負担がかかると言われています。

そういった費用の問題や治療後の生活も想像しながら、自分にとってベストな選択ができるようになりましょう。

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