ドラマでもよく耳にする「抗がん剤」。乳がん治療ではどのように使うの?

手術の前後に使用される抗がん剤、その目的と使い方とは?

抗がん剤投与を受ける女性

医療ドラマなどでもよく耳にすることのある「抗がん剤」、実際にどういった場面で使用されるのか具体的には知らないという方も多いのではないでしょうか?
乳がんにおける抗がん剤は、主に悪性度の高い乳がんに適用される化学療法。具体的には、組織異型度や核異型度の高い乳がんやリンパ節に転移のある乳がん、ホルモン剤の効かない乳がんなどに適用されます。がん細胞が分裂する際の様々な段階に働きかけて死滅させるのがその役割です。

一体どのタイミングでこの抗がん剤は使用するのか、またその副作用とはどういったものなのでしょうか?

術”前”化学療法としての抗がん剤

術前化学療法は、手術の前に抗がん剤を使用することでしこりを小さくし、乳房を温存するために行われています。しこりが大きい場合や乳頭近くにしこりがある場合は、この乳房温存を希望しても難しい……とされる場合が多々ありました。しかしこの抗がん剤を用いた術前化学療法によってしこりを小さくすることで、乳房温存療法を選択できる可能性が高まるのです。

術”後”化学療法としての抗がん剤

術後化学療法は別名「術後補助化学療法」ともいうものの、現代医療において抗がん剤は「補助」と言えるものではなく、むしろ治療において最も重要であると考えられています。その目的とは、しこりになる前、またしこりが大きくなるにつれて全身に転移した微小ながん細胞を根絶やしにし再発を防ぐことです。

術後化学療法が適用となるのは?

術後化学療法は、病理検査で浸潤性乳がんの大きさが2cmを超えたり、組織異型度・核異型度(悪性度)が高かったり、リンパ節への転移が見られる場合、ホルモン受容体がなかったり、血管・リンパ管内にがん細胞がある……等の場合に適用となります。

抗がん剤を用いた術後化学療法が導入されたのはこの30年程の間ですが、化学療法を行っていなかった時代に比べて再発の憂き目にあう患者の数は約半数ほどにまでなりました。しかし一方で抗がん剤につきまとうのは「副作用」の脅威。もちろん、メリットの一方で副作用もあることは事実です。

代表的な抗がん剤の種類

抗がん剤の種類

ここで、抗がん剤の中でも代表的に使用されているものを何種類か紹介します。基本的には幾つかの種類を組み合わせて治療では使われますが、それにより費用も全く異なってきます。例えばCMF(※)を用いた抗がん剤治療では、半年間で約10万円(自己負担は約3万円)ほどの費用となりますが、AC+T(※)の組み合わせを用いた抗がん剤治療は半年間で約70万円(自己負担は約20~25万円)がかかってきます。

※アルファベットの略号については、それぞれの種類の紹介をご参照ください。

アンスラサイクリン系薬剤

抗がん性抗生物質の一つで、DNAの合成を阻害したり、がん細胞の細胞膜を破壊する役割などを担っています。乳がん治療では最もよく使用されている抗がん剤と言えますね。アドリアマイシン(略号A)を含むもの、エピルビシンを(略号E)含むものなどいくつか種類がありますが、標準治療においては3週毎の投与が行われます。

タキサン系薬剤

植物アルカロイドに属した抗がん剤で、細胞を形作る際に重要な微小管に結合して抗腫瘍こうしゅよう効果を発揮します。種類でいうとパクリタキセル(略号P)とドセタキセル(略号D)の2種類が一般的ですが、前者は毎週または3週毎、後者は3週毎の投与が標準治療では行われます。

サイクロフォスフォミド(略号C)

アルキル化剤と言われるものの一つで、DNAを構成する核酸の塩基と呼ばれる部分にアルキル基を結合することで、細胞死に誘導させる役割を果たします。

5-フルオロウラシル(略号F)

代謝拮抗剤の中のピリミジン拮抗剤の1つで、がん細胞の中で核酸合成を阻害します。

メトトレキサート(略号M)

代謝拮抗剤の中の葉酸拮抗剤の1つで、これもまた核酸合成を阻害する役割を担います。C、Fと組み合わせたCMF療法は乳がんの化学療法で古くから行われていた治療法の1つとも言えます。現在ですとアンスラサイクリン系やタキサン系が主に治療で行われることが多いものの、高齢者や悪性度の高くない患者への投与は行われています。

代表的な抗がん剤の副作用

術前・術後にかかわらず抗がん剤の投与にあたって、「1剤のみ」の投与というのは滅多にありません。基本的には多剤投与と言って作用の異なる抗がん剤を2、3種類併せて使用するのが標準的です。一方で抗がん剤投与によって発生する副作用についても、代表的なものをいくつかご紹介します。

血液毒性

この副作用は最も多くみられる副作用で、体の抵抗力の指標である白血球(特に好中球)や酸素と二酸化炭素の運搬役である赤血球などの減少を招くものです。抗がん剤の投与後の7~12日辺りに好中球が減少し、中でも極度な減少が起きた場合には顆粒球かりゅうきゅうコロニー刺激因子の投与や抗生物質の内服などを行うなどの処置が施されます。

吐き気・嘔吐

吐き気や嘔吐は抗がん剤の投与量に応じて生まれることが多いですが、現在は制吐剤やステロイド剤の使用によりかなりコントロールできるようになっています。

血管によるダメージ

抗がん剤の投与にあたっての点滴が血管の外に漏れてしまった場合には、炎症を取り除く軟骨を塗ります。処置が遅れて、その部分にひどい潰瘍ができた場合には皮膚移植を行う必要が出ることもあります。

脱毛

抗がん剤における副作用としてよくイメージされるのは、この「脱毛」ではないでしょうか?アンソラサイクリン系薬剤、タキサン系薬剤においては、残念ながら脱毛は避けがたい副作用と言えます。最初の点滴開始の15~16日目頃から毛髪は抜け始め、その後ほとんど抜け落ちてしまいます。しかし点滴が終了した頃にはまた発毛が始まります。

 

抗がん剤を使用する目的、その効果、そして副作用。乳がん治療において検討しないわけにはいかないこの化学療法は、そのメリット・デメリットともに大きいもの。その双方への理解をしっかりと踏まえた上で治療方針の選択に踏み切れるように、イメージや想像だけでなく知識を蓄えた上で医師と話し合えるよう、準備しておきましょう。

 

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