放射線治療はこわくない!

1.正しい知識が心配を解消しますunnamed

がんというのは生命にかかわる病気であり、放射線療法といえば副作用や放射線による被害のことがいわれていますから、さまざまな不安や心配や恐れを感じていられることでしょう。こうしたときは、不安が不安を呼び、それが心配を増強させ、恐怖心までもおこさせます。暗闇でススキを見てお化けと思うのとおなじです。明るくなってススキとわかれば、なあんだと不安や恐れは解消します。

みなさんの場合も同様です。がんや放射線療法について十分にわからないから、不安になり心配になるのです。がんについてはいろいろな情報があり理解も広まっていると思いますが、放射線療法については情報も少なく、またいい加減な風評がひろまったりしていて、誤解も多いのです。そこで当サイトでは、がんと放射線治療についての、正確な最新の情報をお知らせして、正しく理解していただきたいと思っています。

正しい知識をもてば、きっと不安や恐れは消える、消えなくても薄らぐことでしょう。医療をうけるとき、不安や恐れはマイナスに働きます。不安や恐れがなくなれば、医師や医療スタッフに対する信頼もうまれ、それが治療効果を高めることにもなります。当サイトは、放射線治療についての理解をふかめていただき、よりよい治療を受けられるための助けになればと考えています。

2.がん医療の現状

日本人で年間に亡くなる人は約 100万人、そのうちがんが原因の人は約34万人もいて、日本人の死亡原因の約3分の1はがんであるといえます。そして、その数は現在も増加の一途をたどっていて、今後もまだ増えつづけるものと予測されています。

こうしたなかで、社会的にがん対策が求められ、1)がん予防、2)早期発見・早期治療、3)新しい治療法の開発、4)治らないがんに対する緩和医療、という4つの対策が、積極的にすすめられています。そのなかでも、診断や治療のための、新しい医療機器の開発や技術的な進歩は目ざましいものがあります

しかし一方で、せっかく開発された機器や技術が十分に活用されていない現実があります。がん治療の3本柱の1つである放射線療法の分野で特にそれが見られ、宝の持ち腐れという状態になっているのです。それを如実にしめすデータがあります。がん患者のうち放射線治療を受けた人の割合は、日本が約25%に対してアメリカやヨーロッパは60~70%にもなります。放射線治療専門医師(放射線腫瘍医)の数でいうと、日本が約 600人に対して、人口がおよそ2倍のアメリカは約4000人もいるのです。

がん医療の現状

しかも、日本ではそのほとんどが大学病院で研究を行う医師であって、実際に放射線治療にあたっている腫瘍医はほんのわずかしかいません。

といって医療機器がないわけではありません。いまや大きな病院では、そのほとんどに放射線治療機器がそろっていますし、大学病院やがんの専門医療施設では、最新の放射線治療の機器も導入されています。最新の治療法である重粒子線や陽子線の治療施設も、膨大な建設費がかかるにもかかわらず、我が国では数カ所が開設されています。

3.放射線治療への偏見

では、我が国ではどうして放射線療法がないがしろにされ、普及がおくれているのでしょうか。

がん治療には3本柱があるとお話しましたが、それは、

がん治療の3本柱

で、がんと診断がついたら、この3つのうちから治療法が選択され、治療がすすめられます。多くの場合はこれらが併用されます。治療法を選択する場合、以前から手術療法が第1選択とされてきました。手術でがんをすべて取り除いてしまえば、確実であるし、放射線や抗がん薬にみられる副作用もない、というのが主な理由です。

手術でがんを十分切除できなかったときや、取り残しが心配なとき、あるいは再発の予防のためになどで、手術のあと補助的に用いられるのが放射線や化学療法とされてきました。また、がんが進行してしまって手術ができないようなとき、放射線を照射して痛みをやわらげたり、出血やその他の症状を改善するなどの、緩和治療のためにも使われています。

そうしたことから、がん治療の主役は手術療法であり、放射線療法はあくまでもわき役であるといった考え方が通用してきたのです。現在、医師でもそのように考えている人が少なくありません。

前立腺がんに対する、手術と放射線治療の治療成績の比較

Gy(グレイ)は吸収線量の単位で、人間の場合ほぼSv(シーベルト)と同じと考えてよい。


4.より安全確実にを目指して

しかし、新しい放射線機器の開発や、治療技術の進歩によって、放射線治療も安全に行え、確実に効果をあげられるようになり、これを第一選択にすべきケースが増えてきているのです。放射線療法の場合、まず心配されるのが副作用ですが、最近は副作用のでる放射線照射量を必要最小限にとどめ、がん組織だけに的確に照射して、正常細胞への影響をできるだけ少なくし、副作用をきわめて少なくすることができるようになりました。

また、手術で切除した場合、放射線治療のような副作用はありませんが、傷あとが残ったり、機能が損なわれたりすることがあり、これを手術による侵襲(しんしゅう)といいます。しかし、放射線治療ではがんだけをピンポイントで攻撃することができますから、傷あともほとんどなく、手術にくらべれば非常に少ない侵襲(しんしゅう)で治療できるのです。

たとえば、乳がんの治療では、切除術といって乳房を全て切除する方法が行われて来ましたが、それでは切ったあとの傷はのこりますし、ふくらみが失われます。それに対して、乳房を温存する部分切除と放射線療法であれば、傷もほとんどなく乳房の大きさもそのままに治療することができます。

といって、すべてのがんに対して放射線治療がすぐれているというわけではありません。臓器によっては放射線の害をうけやすいところ(たとえば胃、腸、神経など)があって、その臓器に近いところにできたがんに対しては、放射線治療は困難な場合があります。また、放射線治療が効きやすい(感受性が高いという)がんと効きにくいがんがあり、また同じ臓器にできたがんでもそのタイプによっても感受性が違いますから、それを調べて治療法を選ぶことも大切です。

放射線治療が普及しないもうひとつの理由に、放射線による被害への心配があります。わが国は世界でも唯一の原爆被爆国であり、多数の方々が放射線被ばくによる原爆症に苦しんでいます。また、今回の福島第一原発の放射能漏れ事故によって、国民の放射線に対する不安が広まり、根拠のない風評が流れて、放射線被ばくの心配や恐怖が高まっています。

しかし、放射線治療においては、そうした被害が生じないことを第一に考えて行っています。といっても、放射線を当てれば当然その害は生じるわけですが、それを最小限にとどめる研究や工夫がなされているのです。どうしても副作用が心配ならば、放射線治療についてよく勉強して、それぞれの治療をうけたときのプラスと、おこる副作用のマイナスを、冷静に考えてみれば、おのずと判断がつくでしょう。

専門医情報

放射線治療の名医
山下 孝(やました たかし)

昭和19年 岡山県岡山市に生まれました。
昭和38年 東京都立戸山高校を卒業。
昭和45年 京都府立医科大学卒業。東京女子医科大学放射線科に入局。全身にできるすべてのがんを見て、その診療にあたりたいと考えたからです。
昭和49年 国立高崎病院、国立東信病院での臨床研修のあと、東京慈恵会医科大学放射線科望月幸夫教授の門下に入りました。1年間、ハーバード大学で放射線生物学の研究員として過ごしましたが、そこでは毎日ハツカネズミの尻尾に麻酔薬を注入していたので、MouseDoctor (MD=ねずみのお医者)といわれていました。帰国後は東京慈恵会医科大学病院で放射線治療に従事しました。
昭和61年 癌研究会癌研究所放射線治療科医長に就任。その後、癌研有明病院院長補佐、放射線治療科部長、核医学部長、放射線部部長、研究所物理部長などを歴任。
平成21年 癌研有明病院を退任、有明病院の近くに新設した東京放射線クリニック理事長として放射線治療にあたっています。

私の信条は、全身のいろいろなところにできるすべてのがんを見ること、そしてその最後までを見極めることです。放射線治療やその他の治療によって、がんが消滅すればよし、もしがんが残って患者さんの生命が失われるようであれば、その最期まで看取っていました。そして、放射線治療医としてただ単にがんに放射線照射をするだけでなく、人間としての患者さんに接していく医師でありたいと思っています。つまり、患者さんの不安、悩み、悲しみ、そして喜びなどを共有しながら、治療にあたっていく、全人的医療を目ざしています。

余暇は、へたなゴルフと俳句にいそしみ、6人の孫の成長を見るのが楽しみです。

信条:「どの患者さんにも家族のつもりで治療する」

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

CAPTCHA


名医の紹介無料、満足度95%、ご利用者数3万人突破

あなたのがんは治る?最適な治療法は?チャットドクターが、あなたに最適ながんの専門分野別トップドクターをご紹介します。下記のフォームで無料相談を行ってください。

相談完全無料
性別は?
所見や検査結果などのデータの有無
名医に聞きたいことは?

(複数選択可)

性別を選択してください。
年齢を選択してください。
都道府県を選択してください。
所見や検査結果などのデータの有無を選択してください。
気になるがんの種類を選択してください。
名医に聞きたいことを選択してください。
メールアドレスを入力してください。
メールアドレスが不正です。