肺がんの標準根治手術、そのプロセスは?手術の間に何が起こっているのか知っておこう

肺がんに対する手術の基本は「根治手術」

肺がんの根治手術

肺がんの種類・広がり具合によって決定される治療方針、その中で外科治療が採用される場合中心となるのは「根治手術」となります。基本的に2~3時間で終わり負担も少ないこの手術ですが、実際にどう言った手順・流れでこの手術が行われているのかしっかりと知っておきましょう。

標準根治手術のプロセス

では、実際に標準根治手術がどのような手順で行われるのか見ていきましょう。

術前検査

術前検査について

一般的には、まず胸部X線、胸部CT、採血検査、心電図などの生理学的検査などの術前検査を行います。検査の種類によっては、肺がんかどうかを検査した際のデータを流用することもあります。患者さんの病状や進行状態、一般的な検査で異常が発生された場合には、専門医によってさらに詳しく検査をすることもあります。

病状や進行の度合いによって行う特殊検査には、MRI(磁気共鳴画像法)やガリウムシンチグラフィー(核医学検査)などがあります。一般的な検査で異常が見つかった場合は、どの検査で異常が出たかによって、再検査の種類が異なってきます。例えば、心電図に異常が見つかった場合は、循環器の専門医による新エコー、負荷心電図、心筋シンチグラフィー、心臓カテーテルが行われることがあります。呼吸機能が衰え、手術に耐えられるかどうか判断が難しい場合は、換気・血流シンチグラフィー、胸部CTによる残肺呼吸機能の評価などが行われます。

また、肺がんい加えて高血圧症や肝硬変、糖尿病などの併存所を持っている患者さんの場合は、食事療法や治療薬による術前のコントロールが必要になります。そのため、それぞれの併存省によって必要な検査が行われます。

麻酔

根治手術における麻酔について

肺がんの手術は一般的に3時間以内には終わります。麻酔は全身麻酔になり、気管支から麻酔を吸い込む吸入麻酔が使われます。最近は手術操作を容易にするために「分離肺換気」という方法が用いられることが多くなっています。これは、全身麻酔を行う際特殊な挿管チューブを使い左右の肺を分け、それぞれ独立して換気する方法です。
例えば右肺を手術する場合は手術中右肺の換気を止め、左肺のみによる片肺換気を行います。換気を止めることにより右肺は虚脱した状態になるので手術が極めてスムーズに行いやすくなります。この手術中に呼吸を管理する方法は後述する「胸腔鏡手術」では特に必須となります。

病巣の手術

肺がん切除の手術は、

  1. 開胸
  2. 開胸診断
  3. 肺葉切除
  4. リンパ節郭清
  5. 閉胸

の5つのプロセスに分けられます。上葉切除を例にとりながら、実際の手術の手順を確認してみましょう。

1. 開胸

肺を切除するためには、肺が収められている胸腔に入らなければなりません。そのために行うのが「開胸」です。肺の切除には、通常「後側方開胸法」という開胸法が使われます。

まず、側胸部の皮膚を肋骨に沿って10~20cm程度切開します。次に広背筋と肋間筋という筋肉を切断します。そして、第6肋骨の上縁、つまり第5肋骨の隙間から壁側胸膜を破り、胸腔内に入ります。最近の肺がん肺切除では、肋骨の切断はほとんど行われなくなっています。手術器具の進歩で、狭い「肋間」からの操作が可能になったのです。

2. 開胸診断

開胸したら、医師はすぐに肺がんお進展状況を視診と触診で確認し、切除が可能かどうかを最終的に決定します。具体的には、肺がん原発巣の部位の確認、周囲の臓器への浸潤の有無や程度、胸膜播腫や悪性胸水の有無、リンパ節転移の有無などを確認します。

最近では胸腔鏡を用いることで、これらの胸腔内診断が可能になってきています。そこで、国立がんセンターでは、麻酔をかけ、胸腔鏡を用いて肺がんの進展状況を視診したのち、実際の開胸術を行うようにしています。

3. 肺葉切除

切除の最終確認が済むと、肺葉の切除に入ります。切除する肺葉がどこかによって多少手順は前後しますが、心臓と肺の間の血流を遮断します。次に肺動脈を切り離します、血管の切り離しは、糸による結紮、または自動縫合器などが用いられます。また、文葉不全と言って、肺の各葉がスムーズに分離できない時は、自動縫合器を使って葉間をわけ、空気漏れを防ぎます。最後に上葉気管支を自動縫合器で切り離し、上葉切除は完了します。

4. リンパ節郭清

リンパ節郭清においては主に電気メスを用いて行われます。郭清が必要な部位は、肺がんの原発巣がどこにあるかによって異なってきますが、肺門部分にあるリンパ節は肺葉切除と一緒にほとんど完了しているので、実際には葉間にあるリンパ節をさらに摘出する程度で済みます。

この段階での切除の中心になるのは、縦隔にあるリンパ節です。上葉切除の場合摘出されるのは期間と上大動脈に挟まれた部分の脂肪組織に埋もれている「上縦隔リンパ節」と右主気管支から気管分岐部にある「気管分岐部リンパ節」になります。この2つのリンパ節をそれぞれひと固まりにして摘出していきます。

5. 閉胸

すべての胸腔内の操作が完了した後、止血を確認します。その後、閉胸の手技に入ります。一般的には、胸腔ドレーン(細い管)を1~2本、残した状態で閉じます。胸腔ドレーンを残す理由は、肺をしぼませないためと、手術部からの出血やリンパ液、肺から漏れる空気が胸腔内にたまらないようにするためという目的があるためです。通常は、空気漏れがなくなり、廃液量が少なくなるのを確認し、2~3日以内に抜き去ります。

術後3~5日は、座薬や注射の形で鎮痛薬を投与して、痛みを和らげます。また、早くからだを動かすことで十分席をし、痰を出せるように努めることになります。

 

手術の流れはこのようになります。もちろん患者さんからすれば麻酔で眠っている間に行われるものではありますが、医師がどういった手術を行っているのか知っておくことで、肺がんにしっかりと向き合い、その治療に取りくんでいくことができるでしょう。

SNSでもご購読できます。

名医の紹介無料、満足度95%、ご利用者数3万人突破

あなたのがんは治る?最適な治療法は?チャットドクターが、あなたに最適ながんの専門分野別トップドクターをご紹介します。下記のフォームで無料相談を行ってください。

相談完全無料
性別は?
所見や検査結果などのデータの有無
名医に聞きたいことは?

(複数選択可)

性別を選択してください。
年齢を選択してください。
都道府県を選択してください。
所見や検査結果などのデータの有無を選択してください。
気になるがんの種類を選択してください。
名医に聞きたいことを選択してください。
メールアドレスを入力してください。
メールアドレスが不正です。