胃がんの発生原因はピロリ菌!?その研究の歴史とは

胃がんの発生原因とは…?

胃がん 原因

胃がんの発生原因については古くから研究が続けられていました。その中で現在WHO(世界保健機関)のIARC(国際がん研究機関)は胃がんの原因の80%はピロリ菌であり、非噴門部胃がんに限ると90%であるとの報告をしています。とはいえ、この結論に至るまでは長い紆余曲折があったのです。その研究の歴史についてご紹介していきましょう。

胃がんの発生原因に関する研究の歴史

胃がん 研究の歴史

胃がんの発生原因についての研究は、1991年にさかのぼる。米国スタンフォード大学のパーソネット氏はカリフォルニカ地方の109人の胃がん患者を選び出し、約14年前に採血し保存してあった彼らの血清のピロリ菌抗体を測定する一方、彼らと年齢・姓・人種を一致させた胃がんではない人の同時期の血清のピロリ菌抗体を測定しました。その結果、胃がん患者の14年前のピロリ菌抗体の陽性率は、胃がんでない人の3.6倍も高かったのです。同じ時期に、英国のフォルマン氏とハワイのノムラ氏も同様な方法でピロリ菌抗体を測定したところ、いずれも胃がん患者のピロリ菌抗体陽性率が胃がんでない人の陽性率より明らかに高かったことを報告しました。

異なる3地域からの同様の検査結果

異なった3つの地域で行われたこれらの測定ですが、全く同様の結果が得られたことで医学界は大きな驚きに包まれました。彼らの研究はしっかりとした科学的手法で行われたことにより、3論文はいずれも世界の超一流紙に掲載され、これらの結果を踏まえて、WHOのIARCは1994年、ピロリ菌を明らかな発がん物質に指定したのです。

IARCは発がん物質の指定では世界唯一の権威ある機関で、その影響力には計り知れないものがあります。その結果、ピロリ菌は肺がんにおける喫煙、肝がんにおける肝炎ウイルスと同じ評価を与えられることになったのです。この指定をきっかけに、世界中でピロリ菌と胃がんの関わりについての研究が開始されました。

日本と諸外国の胃がんデータへの見方の違い

ところが、IARCの決定が疫学的データのみで行われたことから、日本では時期尚早ではないかと言う意見が主流でした。まだ動物実験や分子生物学実験によって証明されていないことが問題となったのです。世界各地からのピロリ菌と胃がんの関わりのデータも乖離を示していました。

これらを踏まえて、日本では早期胃がんと進行胃がんでのピロリ菌陽性率が検討されました。その結果、進行胃がん(85%)より早期胃がん(93%)の方がピロリ菌感染率は明らかに高かったのです。

日本以外では進行胃がんが多いがために、ピロリ菌の陽性率が低かったと思われます。この論文は米国がん学会の機関誌に掲載され、米国消化器病学会の教育スライドにも採用されたことで、長らく認められなかった早期胃がんの概念を欧米諸国が認めてくれるきっかけとなったと思われます。このように、ピロリ菌は進行した胃がんより早期の胃がんとの関わりが強いことが明らかになったのです。

ピロリ菌の実験の動物実験の進行

ピロリ菌の動物モデルの作成にはしばらくの年月がかかったものの、1996年吉富製薬研究所によって砂ねずみにピロリ菌感染モデルが初めて作成されました。このスナネズミ・モデルは人と同じような胃炎を生じ、長期間の感染の継続により、胃潰瘍や萎縮性胃炎も生じることが明らかになりました。

1998年になって、ピロリ菌を感染させたスナネズミに胃がんを発症させたという症例が日本内で相次ぎました。中には米国消化器病学会の機関誌の表紙にのったものもあり、日本の研究者によるスナネズミへの発がん実験の成功で、IARCがピロリ菌を発がん物質に認定したことが正しいと再認識されたのです。

ピロリ菌の脅威について

基本的にピロリ菌は口を通して胃の中に入ってくると考えられます。しかし、実はピロリ菌がどこからどのように人の胃に感染するのかはまだ十分にはわかっていないのです。この菌は極端に酸素の少ない環境を好むので、普通の食べ物から感染することはまずありえません。当初、日本人の感率が高いことから刺身が感染源ではないかと疑われていましたが、実際は全く関係がないことがわかりました。

ピロリ菌は嫌気性菌に近いため、汚染水が原因である可能性が高いと言われています。また、ピロリ菌がヒトに最も感染しやすい時期は乳幼児期とされています。この時期までは、遺産を分泌する壁細胞が十分機能を発揮できないので、胃内に塩酸が充満しています。そのため、ピロリ菌は容易に胃粘膜に達して生育できるのです。ピロリ菌は一旦感染すると通常一生の間ヒトの胃の中にとどまっていることが明らかになっています。

近年ではピロリ菌の感染源として特定できたものとして内視鏡が挙げられます。内視鏡には生検鉗子と呼ばれるチャンネルが付属していますが、内視鏡検査後、その鉗子口を十分消毒しなければ、ピロリ菌に感染する可能性があります

 

今回は胃がんの原因である胃がんとピロリ菌について、かなり詳細にご紹介しました。もちろん、患者さんの立場で歴史についてまで深く知る必要はない、という考えもあるかと思いますが、胃がんという病に対して医学界がどうやって立ち向かってきたかを知ることは医学への信頼にもつながると言えます。病院・医師を信頼して胃がんの治療にあたることができるような状況が、患者さんにとっては最も望ましいと言えます。

 

SNSでもご購読できます。

名医の紹介無料、満足度95%、ご利用者数3万人突破

あなたのがんは治る?最適な治療法は?チャットドクターが、あなたに最適ながんの専門分野別トップドクターをご紹介します。下記のフォームで無料相談を行ってください。

相談完全無料
性別は?
所見や検査結果などのデータの有無
名医に聞きたいことは?

(複数選択可)

性別を選択してください。
年齢を選択してください。
都道府県を選択してください。
所見や検査結果などのデータの有無を選択してください。
気になるがんの種類を選択してください。
名医に聞きたいことを選択してください。
メールアドレスを入力してください。
メールアドレスが不正です。