胃がん手術で起こりやすい合併症とその対策

手術後は合併症に注意が必要

胃がんの合併症

合併症とは、手術後の比較的早い時期に発症する症状のことです。医療技術の進歩により手術後の合併症の危険性は低下しましたが、ゼロではありません。患者さんによっては出血が続いたり、術後肺合併症や感染症にかかったりすることもあります。また、もともと持病がある場合は病状が悪化しないように慎重な管理が必要になります。合併症を起こすと入院期間が長引いたり、一つに合併症から他の合併症を引き起こしたり、時には命に関わる危険な症状となるケースもまれにあるので、十分な注意が必要になります。今回は主な合併症、そしてその対象法についてご紹介していきます。 

主な合併症と対処法

胃がんの手術後に起こる合併症のうち、重症化しうるものとして膵液漏、縫合不全、肺合併症はあげられます。比較的軽く済むものとしては創感染などがあります。

膵液漏

胃がんの手術では胃周辺のリンパ節も切除しますが、ある程度がんが進行している場合は周辺だけでなく、膵臓に近いリンパ節も広く切除します。この操作に伴って膵液漏が生じるのです。

胃の上部のがんに対する胃全摘術の場合、膵臓の尾部から脾臓にかけてリンパ節郭清が行われ、がんの進み具合によっては膵臓や膵尾部を切除することもあります。膵液漏は、膵臓周辺の完全なリンパ節郭清を行った場合は15%程度、膵尾部を切除した場合は約40%で起こります。胃の中部から下部のみを切除する幽門側胃切除では膵液漏はまれにしか起こりません。

膵液の漏れる量がわずかなら、自然に治癒します。漏れる量が多く、腹腔内に膿のたまり(膿瘍)ができた場合には治癒に時間がかかります。患部の持続的な洗浄を行い、抗生物質を投与したりする必要があります。症状によっては再手術をし、患部に管を入れて効果的な洗浄できるようにすることもあります。重症化を防ぐために、膵液の分泌や働きを抑える薬剤が用いられることもあります。

縫合不全

胃の切除後に縫い合わせた部分は十分にくっつかず、消化液や食べ物が漏れ出ることを縫合不全と言います。胃全摘術では食道と小腸の縫合部、幽門側胃切除術では胃と十二指腸または小腸との縫合部で、縫合不全が起こります。まれに十二指腸を縫い閉じた部分や、小腸と小腸を縫い合わせた部分に生じることもあります。縫合不全の頻度は、術式によって多少異なりますが胃がん手術の2%程度で起こるとされています。

縫合不全は手術の翌日に起こることもあれば、1週間くらい経って食事が始まった後に生じることもあります。発熱と腹痛が起こり、手術時に入れておいた管から消化液が出てきたり、造影剤を使ったレントゲン検査で漏れが映ったりして診断がつきます。小さな縫合不全では絶食で様子を見るうちに自然に塞がることが多いのですが、大きな縫合不全で腹膜炎を併発した場合には、再手術が必要になることがあります。重症化すると、感染症や重要臓器の障害を生じて死亡に至ることがあります。

無気肺・肺炎

手術後が、全身麻酔の影響(麻酔薬の吸入や気管挿入など)により、痰が多くなります。十分に排出できていれば問題ありません。しかし、術後の傷の痛みのために呼吸が浅くなり、痰を吐き出すのが困難になって痰が溜まってしまうと肺炎や無気肺などの術後合併症を引き起こすことがあります。

肺の中で、吐き出せずにたまった痰のある場所から先へは、空気を十分に送れなくなります。すると、その部分の肺が機能せず虚脱状態になり、肺が潰れたようになってしまいます。これを「無気肺」と言います。一方、痰が溜まったところに感染を起こすなどして、炎症が生じた状態を「肺炎」と言います。治療には抗生物質などが用いられます。

まれに肺炎や無気肺が重症化すると呼吸不全を起こすことがあります。急激に症状が悪化した場合、人工呼吸を必要とすることもあります。高齢者や呼吸機能の弱い人、体力の低下している人、喫煙歴の長い人などは肺炎のリスクが高いので特に注意が必要です。

胸水・腹水

胃がん手術のあとに、胸やお腹に水が溜まることがあります。多くはリンパ節郭清に伴うリンパ液の貯蓄ですが、お腹の中の間せにゃ炎症が原因となることがあります。胸水は左側に多く、大抵は自然に消失しますが、多量に溜まって肺を圧迫し無気肺を生じることもあり、針を刺してぬきとるなどの治療が行われます。腹水も手術からの回復に伴って自然に吸収されますが、まれに「乳糜」といわれるリンパ液が多量に溜まってお腹が張り、管を入れて排出する必要が生じることもあります。

創感染

手術の傷に細菌感染を起こすことがあります。多くの場合、傷の手当てをして膿を排出させる処置をしたり抗生物質を用いたりすれば改善します。手術後は、多くの患者さんに数日程度の発熱がみられますが、それ以上に長く高熱が続いている場合は感染症などの合併症が疑われます。

 

これらの感染症や合併症は胃がんの手術の後には必ずついて回る脅威です。しっかりとそれぞれの特徴を把握しておいて、直面した際にも同様の内容にできると良いでしょう。

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