術後補助化学療法って?その目的と治療での役割に迫る!

胃がん手術後の再発を抗がん剤で防ぐ

術後補助化学療法について

胃がんの根治療法は、手術による切除が基本です。しかし手術でがんを全て切除しても肉眼では見えない微小ながん細胞が体内のどこか残っていて、それが増殖すれば再発を引き起こします。特に胃壁の浸潤が高度であったり、周辺リンパ節への転移がみられる場合は、再発の可能性が高まります。そのようなリスクに備えて行われるのが、胃がんの手術後に抗がん剤でがん細胞を退治する術後補助化学療法です。対象となるのは病期がⅡ~Ⅲ期の進行がんです。再発のリスクが低いⅠ期の早期がんの場合は基本的に対象とはなりません。この「術後補助化学療法」について詳しく見ていきましょう。

TS-1による治療で生存率が向上

手術後の再発予防では、TS-1という抗がん剤がよく使われます。この薬は日本で開発された抗がん剤で、2010年に発表されたガイドラインではTS-1による術後補助化学療法が標準治療として推奨されています。TS-1は体内でフルオロウラシルに変換されてがん細胞を破壊するテガフールと、フルオロウラシルの働きを持続させるギメラシル、そしてフルオロウラシルで問題となる消化器系の副作用を軽減するオテラシルカリウムという、三つの成分を配合した薬です。フルオロウラシルは様々ながんに効果を発揮する抗がん剤で、胃がんでは進行・再発がんに用いられることがあります。

これまで胃がんは抗がん剤の効きにくいがんとされ、抗がん剤による治療はエビデンスに乏しいとされていました。しかし、2006年に日本で発表された「ACTS-GC」と呼ばれる臨床試験で、TS-1を術後1年間服用した場合、手術痰d区の場合よりも生存率が明らかに高いことが証明され、標準治療となったわけです。

TS-1以外の薬による術後補助化学療法

TS-1以外で、術後補助化学療法の有効性が指摘されている薬には、テガフール・ウラシルがあります。しかし、臨床試験における症例数が少ないことからTS-1のようにⅡ~Ⅲ期全体をカバーできる標準治療とはなっていません。ただ、TS-1が使えない場合には、一つの選択肢と言えるでしょう。薬が効きにくいとされる胃がんですが、最近では新しい抗がん剤の登場などにより、がんの縮小や生存期間の延長など、治療の効果は徐々に向上しています。

TS-1による術後補助化学療法は、患者さんが手術から回復するのを待った上で始められます。ただし術後6週間以内の開始が原則です。治療パターンは副作用の現れ方によっても異なりますがTS-1を4週間服用したのち、2週間休薬するのが基本です。この6週間を1サイクルとして、手術後1年間治療を続けます。服用回数は朝・夕食後の1日2回が基本で、服用量は患者さんの体格に合わせて医師が決定します。なお、TS-1にはカプセル剤と顆粒剤、舌下除放剤があります。

副作用が強いときには服薬期間・服用量を調整

TS-1では、消化器系の副作用がよく見られます。このうち吐き気・嘔吐に対しては近年効果の高い制吐剤が登場しているので、よほど症状が強い場合を除けば通常のサイクルで治療を続けることが可能です。ただしTS-1には、手術と併用した場合、そうでない場合よりも副作用が強くなりがちという特徴があります。副作用が強く現れて、通常のサイクルによる治療が難しい場合には上の図のように通常の6週間サイクルを3週間サイクルに変更したり、服用量を減らすなどして対処します。

一年間の治療継続が治療成功の鍵

術後補助化学療法の目的は再発の予防にあります。実際、TS-1の有効性を証明した大規模な臨床試験でも、計画通り治療を完遂した人はもちろん、途中休薬や減薬をしながらでも、当初計画された総量の70%以上を服用した人はそうでない人に比べて治療成績が高い傾向がありました。

術後の化学療法は、画像検査などでも見つけられない微小ながん細胞を退治するためのものです。それだけに、一般の化学療法のように、検査で治療の効果を実感することができません。効いているのかどうかわからないまま、副作用に耐えながら一年間も服用し続けることは患者さんにとって楽なことはないでしょう。また、通院で治療可能ということはメリットであると同時に飲み忘れもしやすくなるという側面を持っています。何のためにこの治療をしているのかを十分に認識し、積極的に治療を続けることが大切です。

地域医療連携により地元の病院で治療可能

術後補助化学療法を適切に進めるための方法として注目されているのが、近年導入が進められている「地域連携クリニカルパス」です。これはがん診療連携拠点病院などの中核病院と地域の開業医などが、その患者さんの診療に関する情報を共有するための岩場共通カルテのようなものです。術後補助化学療法の場合で言えば、専門的な技術や設備が必要な検査・治療はがん専門病院が担当し、一般的な診察や血液検査による経過観察、TS-1の処方などは地域の開業医が受け持ちます。患者さんが受けた全ての治療、体調の変動などは連携パスに書き込まれるので、どこの医療機関でも必要ね治療が適切に受けられます。

 

胃がんの治療にあたってはこのように手術だけでなく、術後補助化学療法も重要になってきます。地域医療連携などにも頼りながら、是非胃がんの治療のための一つの手法として心に留めておきましょう。

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