胃がん手術後の定期検査の意義

手術でがんを切除した後も、目に見えないがん細胞が体内のどこかに残っていて再発する可能性があります。再発の確率は、ステージ(病期)が進むほど高くなります。定期的な検査を行うことで再発が比較的早く発見されることがあります。しかし、胃がんの再発は画像診断でわかる範囲をはるかに超えて広がっていることが多く、再発を早期に発見したとしてもその後の治療で治癒することは多くありません。
これは胃がんに限ったことではなく、多くの固形がんで、術後の定期検査により予後が改善することは期待できないと考えられています。
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胃がんの再発はどのように見つかる?
胃がんの再発が発見されるきっかけには二つのケースが考えられます。一つは、何らかの自覚症状が出たために検査を受けて発見される場合で、もう一つは特に症状はないのに手術後の定期検査で発見される場合です。
再発の部位により症状の出方は全く異なり、中には自覚症状がほとんどあらわれないものも。再発がどういった箇所で発生するのか、またそれらはどういった症状を引き起こすのか、チェックしていきましょう。
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排便リズムを整える重要性

個人差はありますが、胃の手術後は軟便が出たり、下痢気味になるケースがほとんどです。手術前とは違って、胃で十分に消化できていない食物が急に小腸に流れ込むために消化不良の症状として下痢が起こりやすくなるのです。
その一方、便秘も起こりやすくなります。ダンピング症候群などの後遺症が強くあらわれるのを防ぐために水分摂取を抑えたりすると、水分不足から便の状態もかたくなり、排便しにくくなります。また、胃が小さくなって食事量が少なくなると術前に比べて食物繊維の摂取量が不足し、便秘しやすくなります。
こういった症状に対してどういう対応を取っていくべきなのか、ご紹介します。
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1日30品目を目標に栄養の偏りを防ぐ

胃がんの手術後は、着実に体力を回復させていかなければなりません。そのために重要なのが、食事による栄養の摂取です。栄養面での原則じゃ、糖質・脂質・タンパク質の三大栄養素にくわえて、ビタミン・ミネラルなどの栄養素をバランスよう取ることです。それぞれの栄養素の働きについて順にチェックしていきましょう。
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生活の質を維持・その人らしい療養生活の重要性

患者さんは、再発・転移がわかった時やその治療中、薬の副作用や合併症などによる身体的苦痛だけではなく、様々な精神的苦痛を感じます。治療で仕事を休むことによる経済問題などの社会的な苦痛、病気の進行に伴う不安などの精神的な苦痛、死の恐怖や絶望から生まれる霊的な苦痛(スピリチュアルペイン)など、様々な苦痛が複雑に絡み合った「全人的苦痛(トータルペイン)」に襲われるのです。
心身の苦痛が増大すると、睡眠や食事も十分に取れなくなり、体力が低下して治療に影響することもあります。緩和ケアはこうした苦痛を軽減しQOLを維持するために非常に大事なものです。一体どういった流れでこの緩和ケアが進められるのか、紹介します。
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少量でも栄養豊富・バランスの良い食事が大事

胃がんの手術のために胃を切除した人は、食事は少量でも栄養のあるものをバランス良く食べることが大切です。栄養面での原則は、健康な人と同じで三大栄養素と言われる糖質・脂質・タンパク質を中心に摂取します。体を作る重要なタンパク源である肉や魚類は消化が良いので積極的に摂っていくも必要です。
三大栄養素に加えてビタミン・ミネラルの摂取も欠かせません。これらの栄養素は身体の機能を調整する上で非常に重要な役割を果たしています。毎日の食事で5つの栄養素を過不足なく摂取できているか、よくよく考えた食事を取っていくことが求められます。
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食事の工夫で胃の機能低下を補う

胃の手術を受けた後は、大幅に消化・吸収機能が低下します。胃の調子が手術前の状態に戻るまでにはある程度の時間がかかりますが、体力を回復させるためにもしっかりと食べることを目標にする必要があります。手術後しばらくは後遺症として下痢や腹部の重苦しさ、胸焼けなど不快な症状が起こることがあります。しかし、食事に気を配ることによって症状のコントロールにつながることも少なくありません。機能の低下した胃をいたわりながら健康な生活を維持していくには、手術前の食事を見直し手術後に適した食事習慣に改善していくことが必要です。具体的にどんな食事をしていくことが大事か、見ていきましょう。
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胃がん手術後の過ごし方

胃がんの手術が終わった後には、傷の痛みなどで過ごしにくい日々が続きます。また、普段とは違う生活を送るところから徐々に日常生活に復帰し、その中でもより早く回復をするためには一体どうすれば良いのでしょうか?そう言った点についてしっかりと学び、ある意味不足の事態といえる「胃がん手術」、そしてその後の回復での過ごし方についてインプットしておきましょう。
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手術後は合併症に注意が必要

合併症とは、手術後の比較的早い時期に発症する症状のことです。医療技術の進歩により手術後の合併症の危険性は低下しましたが、ゼロではありません。患者さんによっては出血が続いたり、術後肺合併症や感染症にかかったりすることもあります。また、もともと持病がある場合は病状が悪化しないように慎重な管理が必要になります。合併症を起こすと入院期間が長引いたり、一つに合併症から他の合併症を引き起こしたり、時には命に関わる危険な症状となるケースもまれにあるので、十分な注意が必要になります。今回は主な合併症、そしてその対象法についてご紹介していきます。
胃がん手術後の再発を抗がん剤で防ぐ

胃がんの根治療法は、手術による切除が基本です。しかし手術でがんを全て切除しても肉眼では見えない微小ながん細胞が体内のどこか残っていて、それが増殖すれば再発を引き起こします。特に胃壁の浸潤が高度であったり、周辺リンパ節への転移がみられる場合は、再発の可能性が高まります。そのようなリスクに備えて行われるのが、胃がんの手術後に抗がん剤でがん細胞を退治する術後補助化学療法です。対象となるのは病期がⅡ~Ⅲ期の進行がんです。再発のリスクが低いⅠ期の早期がんの場合は基本的に対象とはなりません。この「術後補助化学療法」について詳しく見ていきましょう。
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